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16話 おうちに行こー!

Author: みみっく
last update Huling Na-update: 2025-06-25 21:00:58

 ——レティア、影の世界へ

「そうだよねー。後ろから急に現れたらビックリだよねっ。かっこいー♪ わたしも、影からあらわれてみたーいっ!」

 レティアは目を輝かせながら、自分の影をじっと見つめて嬉しそうに呟いた。

「はぁ、あんた……とうとう人間やめて、魔物にでもなる気なの!? あ、でも……闇属性の魔法を極めれば……可能なのかも? でも、聞いたことないけど……。」

 ルーシーは少し考え込むような表情を浮かべながら、小声で呟いた。

「そーなんだぁ! ノクス、影貸してー♪」

 レティアはそう言うなり、ノクスの影に向かって勢いよくジャンプした。地面に着地するはずだった足元は、まるで水に飛び込んだかのように柔らかく、彼女の体はすっと影の中に吸い込まれていった。

「わぁ……なに、この真っ暗な世界……? 上に影の形をした明かりが見えるぅ〜。へんなのー♪」

 暗闇に包まれたその空間を眺めながら、レティアは不思議そうな顔をしている。そして、上空に映る影の形を見つけると、嬉しそうに微笑んだ。

「あの影の形って……ルーシーかなぁ? うふふ……♪ おどろかせちゃおぉ〜っと!」

 ワクワクした顔をしながら悪戯を思いついたレティアは、影の中を軽やかに移動し、ルーシーの背後からひょっこり姿を現した。

「ルーシー! こっちこっちー!」

 背後から突然抱きつきながら声を掛けると、ルーシーは驚きのあまり声を上げた。

「わっ!? え!? あんた……まるで魔物じゃないの……何でもありって感じよね……? もう……驚かないわよ。」

 ルーシーは呆れた表情を浮かべ、ため息をつきながらも、その驚きが完全には収まらない様子だった。

「まっ。心強くて良いんだけれど……」

 ルーシーが顔を逸らし、小さな声で呟いた。その様子に気づくことなく、レティアは元気な声で言い放つ。

 ——万能バッグの秘密とルーシーの諦め

「さっ。ルーシー家に行こー♪」

 彼女の返事を聞かずにルーシーの手を引き、仕留めた獲物を回収していく。

 その時、レティアが持っていたバッグにルーシーの視線が釘付けになった。

「え!? なにそれ……いや、おかしいでしょ!? なんでそんなに入るのよ?」

 疑い深そうな顔で、バッグをじっと見つめる。

「え? あはは……なんでだろーね……。なんかね、魔法を使ってたら作れちゃったの。くわしく……わかんなーい……」

 レティアはえへへと笑って誤魔化すように答えた。その曖昧さに、ルーシーはさらに怪しげな目を向ける。

「そ、そう……秘密ってことね……」

 疑いのまなざしは消えないが、彼女はそれ以上追及することなくそう呟いた。

「ホントに、わかんないんだってー! ルーシーだって、どうして弓矢が上手なの? どうして料理が上手なの? って聞かれても困るんじゃない? そんな感じだってー」

 レティアは思いついた言い訳を早口でまくし立てた。

「あぁ……うん。説明が難しいってことね……レティーは、説明が下手だもんね……」

 ルーシーは納得したように頷くが、その言葉にレティアは頬を膨らませて小さく文句をこぼす。

「……むぅ。それ、うれしくなーい!」

 そう言いながらもルーシーの手を引き、二人は山を下り始めた。そんな中、ルーシーがふと思い出したように言った。

「そろそろ、狼たちを影に隠した方が良いと思うけど……人に見つかると騒ぎになるわよっ。」

 レティアは素直に頷き、ノクスたちとシャドウパピーズに指示を出す。

「そっか、みんな影に隠れて待機ね! おとなしくしててねっ♪」

 彼女の指示に従い、ノクスとシャドウパピーズは影の中に潜り込み、その姿を消した。

「へぇ〜ホントに素直に指示を聞くのね……」

 ルーシーは羨ましそうな表情で、レティアの影をじっと見つめ、小さく呟いた。その声に気づいたレティアは軽く微笑むが、特に何も言わず、再びルーシーを引き連れて山を下り続けた。

 ——レティアの家、そしてばぁーばとの出会い

 山道を下り、平地をしばらく歩いていると、視界の先に大きな家が見えてきた。それは3人暮らしには少し広すぎるほどで、部屋数も6部屋もある立派な家だった。レティアはその家を指差し、嬉しそうな声で言った。

「あの家がわたしの家だよー♪」

 ルーシーはその家に目を向けながら、周囲を見回して感想を漏らす。

「へぇー、思ったよりも大きな家ね。周りに民家もないのね。静かで良いところじゃないの。」

 その言葉に、レティアは少し照れくさそうな顔をして返事をした。

「ま、まぁ……ねぇ……わたしが、小さな赤ちゃんの時に魔法を放っていたらしいの……あはは……」

 彼女は苦笑いしながら話すが、そのエピソードにルーシーは目を丸くし、呆れた表情を浮かべる。

「……そんな時から無茶苦茶な事をしてたのね……。」

 その言葉に、レティアはぷくっと頬を膨らませ、口を尖らせながら文句を言った。

「ルーシーの、いじわるぅ……」

 二人のやり取りにどこか温かさがあり、家までの道のりに一層穏やかな雰囲気が漂っていた。

「ただいまー! お友達を連れてきたよー!」

 レティアが玄関を元気いっぱいに開けながら、弾むような声で帰宅を告げた。その声に、ばぁーばは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに柔らかい笑顔を見せた。

「また、動物を連れて帰って……。あら、まあ……可愛らしいお客さんだね。」

 ばぁーばは視線をルーシーに向け、少し驚いたように話しかけた。ルーシーは急に注目され、緊張した様子で自己紹介を始める。

「わ、わたし……ルシアスと言います。レティアちゃんの……お誘いに甘えて……。」

 その言葉にはぎこちなさがあり、顔にはほんのり赤みが差していた。その姿を見たレティアは思わずクスクスと笑ってしまう。

 ルーシーはその笑い声にすぐ気づき、横目でレティアを睨みながら、小声で強く言う。

「……レティー。覚えてなさいっ。ふんっ。」

 そんな二人のやり取りをそっと見守るばぁーばの表情には、ほんのり温かさが漂っていた。家の中には柔らかな雰囲気が広がり、これからの交流に期待感が膨らむようだった。

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